2016年5月10日火曜日

ロジャーラビットの話

この記事は、前記事の「ディズニーマニアのためのルーニーテューンズ講座http://kawaiifdsp.blogspot.jp/2016/05/blog-post.html?spref=twをすでに読んでいる前提で話を進めていきます。

前回ではエイブリー(アヴェリー)と書きましたが、めんどくさいので今回はエイブリーで統一します。(その方が言いやすいし)


©disneyをいったん離れて©disneyに戻ってこようとのことで、戻ってきた先は「ロジャーラビット」厳格にはタッチストーンピクチャーズの作品ですが、親会社もそうだしランドにあるので©disneyで良いじゃんってことで。

ロジャーラビットはディズニーランドにあるトゥーンタウンのモデルになっている作品ですが、作品自体はディズニーリスペクトよりもテックス・エイブリーリスペクトが強く見受けられる作品だなぁと私は思います。(小ネタだらけだからそうだと言い切れないけど)

その1.ジェシカ・ラビット

テックス・エイブリーが手掛けた作品には美女が多く登場します。今放映するとフェミニスト団体から怒られそうな感じの美女ですが、その美女たちに興奮する男性の滑稽さを表現している・・・・とでも書けばめんどくさい人に絡まれないかなぁって感じです。

そんな美女ぞろいの中で一番有名なのかこちら、おかしな赤頭巾(1943)に出てくる赤頭巾でしょう。


ジェシカっぽいと思いません?というか赤頭巾さんがジェシカのモデルと言われています。


・・・・・実際そう言われているだけで、カートゥーン美女のステレオタイプを詰め込んだのがジェシカなんだと思うんですけどね。そう言われていて有名なのでその1に

その2.目が飛び出す表現

ルーニーテューンズにエイブリーが加入した際、彼は顔を引き延ばしたり縮めたりすることによって表情に動きを出す演出方法を採用しました。

その後MGMに移った後、その表現方法はより強調されるようになります。って言ってもよくわかんないからとりあえず動画で見て



・・・・この時代のアニメはスターシステムを採用しているのでキャラの使い回しは当たり前。

ロジャーラビットでも、彼のアニメと同じくらい激しく目が飛び出す表現を多用しています。


その3.そもそも時代背景的にこの人の功績が大きい


なんだかんだ言ってもルーニーテューンズという作品を好転させた人物であり、多くのアニメーターが尊敬する人物なんですよ。そりゃ~リスペクトするしかないじゃないですか。舞台は40年代後半のアメリカなので、エイブリーさんがイケイケの頃ですよ。ルーニーテューンズってデカいシリーズに影響を与えた人物なので当時のアニメの流行もこの人が作ったようなものだと思うんですよ。

ディズニーアニメでも、1940年代以降の作品ってギャグが過激だと私は思ってます(例:チップとデールシリーズ)

つまり、流行ってたスタイルなんだからどうしてもそうなるでしょうよと思うのです。



トゥーンタウンがディズニーランドにある話


これらの話から、めんどくさいロジャラビオタク(正しくはカートゥーンオタクなんだろうな)の中にはトゥーンタウンはディズニーランドにあるべきではないという人もいます。(めんどくさいよね~)

私としては、トゥーンタウンは「アニメ版ハリウッドスタジオ」的な立ち位置なんじゃないかな~って思っています。

エディ・バリアントがトゥーンタウンに入ったときに住民たちが歌っていた曲「smile darn ya smile」
。これはワーナー作品フォクシーの怪電車(1931)で使われた曲です。


東京のトゥーンタウンでもこの曲は流れていて、なんとも不思議な話ですが、ワーナーがディズニーの模倣をしていた時代の曲がディズニーランドで流れているってことになります。

そしてルーニーチューンズのテーマ曲でおなじみの「壊れたメリーゴーランド」という曲も東京のトゥーンタウンで流れています。ライバル会社のアニメですが、アニメ界のハリウッドみたいなところを再現してるんだからそれでいいんだと私は思っています。



さて、©disneyからいったん離れて戻ってきてみると、短編アニメの世界に触れてみたくなったでしょうか?

この沼深くて楽しいからみんなおいで!!!!

2016年5月9日月曜日

ディズニーマニアのためのルーニーテューンズ講座

初めに


5/8(日)ディズニーファンのディズニーファンによるディズニーファンイベントcolosEXPO(しーおーえるおーえすと読むのがこだわりだそうです)にてLT形式でお話をさせていただきました。

イベント詳細 http://d-laboratory.jp/colos/expo/

これからの書いてある文章は、LT用のスライドを制作する際に、ブレインストーミングとして作った原稿を乗せています。(ここに書き溜めてたの)

主催の方々が運営&執筆をしているD-Labさんhttp://d-laboratory.jp/のコンセプトがディズニーサイトの隙間を埋める広義のディズニーとのことだったので、©disneyから一旦離れて©disneyに戻りたくなるような話にしようと思い、思い切ってワーナーアニメの話をしようと思い、このLTが完成しました。

また、当日はありがたいことに【MVP参加者】という称号をいただきましたが、LTの内容ではなく、模範的参加者という意味でだそうですので(私がオープニングに遅刻していなかったら、MVP授与式がオープニングにあったらしい)初めて内容に触れる人はハードル上げずに読んでね。



原稿本文


バッグスバニーを「ディズニーか?」と言われて「違う!!!」と言い返した経験はないでしょうか?

「違う!」と言ってみたものの、何が違うのよくわかってない人も多いでしょう。今回はディズニーに負けず劣らずの作品を数多く発表してきた「ルーニーテューンズ」についてお話をさせていただきます。




ミッキーマウスの成功後、ワーナーは第二のミッキーマウスを求めて、かつてウォルトと一緒に「しあわせうさぎのオズワルト」を作っていたやフリッツ・フレリングらに出資をし、ルーニーテューンズの前進となる「メリー・メロディーズ」シリーズを制作します。

 しかし、当時のスタッフがディズニーから引きぬかれた者が多く、プロデューサーレオン・シュレシンジャ―が作品の質よりも商売にこだわるタイプだったので、作品はディズニーの模倣がほとんどでした。


 また、当時のアニメ作品は長編映画のオマケで観る客はほぼ大人なので、コマーシャル的な存在として既存の曲を売りたいがために映画というよりはミュージックビデオのようなものを作っていました。

(ポイント1:初期のスタッフはディズニー出身者が多かった)



メリーメロディーズよりフォクシーの怪電車(1931)


納期さえ守れば何でもよしというアニメーションにあまり興味の無いシュレシンジャ―ですが、人材発掘の天才でした。彼は天才アニメーターのチャックジョーンズを初めとした才能あるスタッフを数々発掘していきました。


個人的なオススメ、チャック・(チャールズ)ジョーンズ監督作品バットマン作戦(1956)


その後、ルーニーテューンズシリーズの制作も始まりますが、メリーメロディーズのスタッフと比べると、若いスタッフが多く、待遇もよくなく、ボロ小屋で仕事をしていました。

ルーニーテューンズはメリーメロディーズの模倣をし続けていましたが、天才アニメ監督テックス・エイブリーの加入により、状況は一変し、「ルーニーテューンズ」の「ルーニー(いかれた)」な部分を強調する作品作りを始めます。
第二次世界大戦後、シュレシンジャ―のスタジオはワーナーに完全に買収をされます。その頃にはルーニーテューンズの人気がメリーメロディーズを上回り、ルーニーテューンズの制作に力をいれていきました。

 その頃にはすっかり「ルーニーテューンズ」としての作風が確立しており、カサブランカのような長編映画を観に来た大人がゲラゲラ笑えるギャグ作品を数多く制作していきました。

(チェックポイント2:メイン客は大人だった)


「メタフィクション」「死ネタ」「自虐ネタ」「精神病もの」など、ギャグはどんどん過激になっていきディズニーの模倣をしていた時代を反省したのか、「パクるなら露骨にパクる(パロディ)」ようにもなりました。

喧しい名曲の夕べ(1943)

(チェックポイント3:日本のアニメでいうと銀魂やおそ松さんのような作風だった)



1960年代に入り、TVアニメーションが発展すると劇場用アニメの予算が少なくなりアニメーターたちはどんどんスタジオを去っていきワーナーは1963年アニメスタジオを閉鎖しました。

ですが、その後ルーニーテューンズはテレビで放送をされ、多くのアニメーターたちに影響を与え続けました。

2011年放映ルーニーテューンズショーより「おひとり様」


テーマパークや長編アニメーション映画よりは触れる機会の少ない短編アニメーションですが、いざ触れてみると奥が深く、アメリカンアニメーション黄金期と呼ばれる時代の作品は「現在のディズニー」にも多くの影響を与えています。この機会に短編アニメーションの世界にハマってみてはいかがでしょうか。



参考文献?

参考文献を上げたいところですが、翻訳本だとルーニーについて専門で書いてる本って少ないし、あってもプレミアがついているんですよ。
そんな中私が参考にしたものが映像資料。

ルーニーテューンズ50周年記念に発売されたDVDBOXコンプリートゴールデンコレクション・・・・・を日本向けにベスト盤として再編集された「ルーニーテューンズコレクション」シリーズを参考にしました。

このルーニーテューンズコレクションは、特典がやたらと豪華で、50年記念のインタビューや、ほぼすべてのキャラクターを演じ分けていた声優メル・ブランク当時の録音風景、ワーナーアニメーションスタジオのドキュメンタリーが数多く収録されています。50周年記念インタビューやドキュメンタリーの解説に、ジーニーを担当したことで有名なエリック・ゴールドバーグや、ディズニートレジャーズシリーズの解説でおなじみの映画史研究家レナード・マルティンなどの解説が聞けます。

何より凄いのが
TUTAYAでレンタルできちゃうんですよ!!!!!

全ての巻がレンタルできる事が多いです。なんなら近所のゲオにもありました。


しかも、アマゾンを見ると凄いDVDなのにプレミアがついてない!!!!!!私もすべてそろえるのに5000円くらいしか使ってないです。さぁ、みなさんレンタルでもセルでもいいんで観てください。面白いから!!!マジハマるから!!!!!